7・6「心神喪失者等医療観察法」施行9ヵ年糾弾!対国立精神・神経医療センター(旧武蔵病院)デモを闘う

 

全「障」共が闘争基調を提起

 

 

 

 7月6日、全国の闘う仲間とともに、東京都小平市仲町公民館での集会と国立精神・神経医療研究センター(旧武蔵病院)に対するデモとして、「心神喪失者等医療観察法」施行九ヵ年糾弾闘争を闘いぬかれた。

 

 午後1時半、全国「障害者」解放運動共闘会議で闘う「病者」、「障害者」をはじめ全国から闘う仲間が結集するなか、「福岡・『障害者』解放をめざす会」の仲間の司会で集会の開始が宣言される。「『心神喪失者等医療観察法』撤廃!」「保安処分施設を解体するぞ!」「改悪『精神保健福祉法』粉砕!」「尊厳死の法制化を許さないぞ!」「差別糾弾闘争で闘うぞ!」「全『障』共は闘うぞ!」と、シュプレヒコールが鳴り響く。はじめに、去る2月16日に逝去された全障連・相談役の楠敏雄氏への黙とうが行なわれる。司会より追悼文が読み上げられ、参加者全員でその遺志を引き継ぎ、最期まで闘いぬくことを確認した。

 

 全「障」共幹事会より基調提起を受ける。仲間は、「心神喪失者等医療観察法」の差別性を詳細に明らかにしつつ、「法」成立後の有効な闘いは「保安処分施設の建設を阻止し、解体する闘いだ」と訴える。本闘争について「第1に、『精神障害者』差別にもとづく保安処分法である『心神喪失者等医療観察法』施行九ヵ年を糾弾し、闘う『精神障害者』を先頭とした差別糾弾闘争の飛躍をとおして、『心神喪失者等医療観察法』撤廃をかちとるための闘い」「第2に、保安処分施設を全国に先駆けて建設した国立精神・神経医療センター(旧武蔵病院)を糾弾し、保安処分施設を解体すべく闘いぬくこと。これを突破口として、全国の保安処分施設の建設を阻止し解体すること」「第3に、『心神喪失者等医療観察法』施行を導水路として策動されている新たな保安処分導入を阻止し、刑法の改悪を阻止する闘い」と3点にまとめ、「精神障害者」解放・「障害者」解放に向けて闘いぬくことを呼びかけた。基調は圧倒的な拍手で確認された。
 基調提起後、司会より「精神障害者」に対する新たな攻撃について提起を受ける。「精神病院の敷地内に、入院していた方々が退院して空いてしまった精神病棟を衣替えして新たな入居施設を造り(グループホームやアパート等)、そこに地域移行であると称して『精神障害者』を閉じ込めてしまおうとする攻撃が強まっている。これは昨年改悪された『精神保健福祉法』を受けてのものである。現在全国の病院に入院している『精神障害者』は約30万人いるのであるが、そういった何十年も隔離・収容されている人たちを、もう地域では生活してはいけないんだとして、精神病院内で一生を終わらせてしまおうという攻撃である」「精神病院が内部に形を変えて新たな施設を造り、『精神障害者』を永久に抱え込めば、経営的にも安定する。それにつけ込み、一体となって『精神障害者』を隔離・拘禁そして抹殺しようとしている厚生労働省の攻撃を絶対に許してはならない」。参加者は、こういった攻撃も粉砕していくことを全体で確認した。

 

 

仲間の熱い訴えに会場が沸く

 

 

 

 続いて全国から結集した仲間からの決意表明に移っていく。

 

 「宮城・『障害者』への公的介護補償を求める会」の仲間は、「安倍政府は『集団的自衛権』容認を閣議決定した。こういった中で『障害者』が戦時体制下で隔離・収容・虐殺されていこうとしている。『心神喪失者等医療観察法撤廃』『保安処分施設』解体に向け、全力で闘っていきたいと思う」「『尊厳死法』が策動されているがこれも粉砕していく。全『障』共とともに、東北の地でも全力で闘う」と決意を明らかにした。
 刑法改悪阻止関東活動者会議で闘う「病者」の仲間は、「タガにはめられ、競争し合って働けなくなって、『うつ病』などを『発病』する労働者は沢山いる。資本主義社会そのものが問題である。こんな社会を変えない限り、『精神障害者』の解放はあり得ない。私自身も『精神障害者』であり、いつ権力に保安処分施設に入れられるかわからない。私は多くの『病者』『障害者』とともに本日の闘争を全力で闘っていきたい」と訴えた。

 

 「ボランティアサークル清瀬」の仲間は、「2001年6月に『池田小学校児童多数殺傷事件』が起きた。時の小泉政府は『心神喪失等の状態で重大な他害行為を行なった者の、医療及び観察等の法律』を制定しようという攻撃を開始した。これは『精神障害者』は『犯罪』を犯す、という非常に歪んだ偏見に満ちた法律としか言えない。この小学校を襲った男に、エリート養成校がやられたということへの報復として狙われたのが『精神病者』『精神障害者』であると私は見る。『精神病者』『精神障害者』への差別・偏見をますます助長させ、これを増大させ、『精神病者』『精神障害者』を非社会的存在にしていこうというのが目的だ」「人間は非社会的存在にさせられる事により、無知になる。そういった中で『犯罪』を犯す人もでてくる。この法律は『犯罪』をなくすために作ったというが、人間は閉じ込められれば、非社会化され、同じような行為をしてしまう。それではどうしたらいいのか。それは閉じ込められて非社会化されている人たちを社会に戻していかねばならない。そうして社会性を取り戻していかねばならないはずなのに、そんなことは一切していない。ひたすら差別・偏見を助長し、当事者を無知にさせているに過ぎない。ますます『犯罪』を増やしているのがこの法律の正体だ」と力を込めて訴える。「ボランティアサークル清瀬」の「身体障害者」であり「精神病者」でもある仲間からも発言を受ける。氏は、「僕も『養護園』に入る前に病院にいまして、いろんな差別みたいなことをうけた。例えばご飯を食べる時に『何も味がしない』と言ったら、『野菜の味がするでしょう』と言われてびっくりしちゃって、ご飯を食べるのが嫌になった」「一生歩けないと言われてガクッときて、怒っちゃって、親に八つ当たりもした。車いすとか乗りたいと思って病院の先生に『車イス乗れますか?』って聞いたら、『ストレッチャーで30分くらいだね』って。PTというリハビリ往診しているのに、どうして『30分しか乗れない』なんて言ったのかなと思う」と語り、病院側の差別的な対応を明らかにした。

 

 「大阪・『障害者』解放をめざす会」は、「われわれは大阪においては主に関西大学の学生たちに『障害者』解放、そしてこの社会を変える運動、いいかえれば、社会の矛盾に対して怒りを叩きつけていこうと、呼びかけてきました。われわれはもっと怒っていいんだ、もっと闘っていいんだと若者に、全ての労働者、『障害者』に訴えるべく、本日のデモを戦闘的に最後まで、闘いぬこう」と訴える。

 

 「広島・『障害者』解放を進める会」は、「この『心神喪失者等医療観察法』は、科学的根拠もなく、『精神障害者』を『収容所』に一生閉じ込めておくための悪法であり、『精神障害者』差別法です。『精神障害者』にとって必要なのは、人とのつながり、社会とのつながりのはずですが、現在進められているのは、全く正反対の保安処分の動きであり、隔離・収容・抹殺の動きです。われわれはこれと全力で対決していかねばならない」とアピールする。

 

 天皇上陸阻止沖縄青年実行委員会の『病者』の仲間は、「日帝は今、急速に戦争国家体制へと進んでいる。天皇主義右翼ファシスト共の在日朝鮮労働者人民への排外主義攻撃は、やがて『障害者』全般、『精神障害者』へとその矛先が向けられていくのは、目に見えています。これら右翼ファシストどもを叩き潰していこうではありませんか。日帝の精神医療がナチスから多大な影響を受け、それをいまだにぬけ切っていないどころか、ますますそれを助長・育成しようとしている。絶対に許せない。とりわけ沖縄は『沖縄戦』や米軍基地の支配の中で、『精神障害者』が非常に多い地域である。そういった『精神障害者』の人達の解放のためにも本日の闘争を全力で闘っていく決意です。共に闘おう」と表明する。

 

 

国立精神・神経医療研究センターへ怒りのデモ

 

 

 

 「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」は、「釜ヶ崎には『病者』『障害者』をはじめ多くの被差別大衆がいます。部落民、アイヌ、在日本『本土』沖縄人、在日朝鮮人、在日外国人など差別を受けている人たちです。文字も読めない、算数もできない。ですが、何十年も日雇い労働者として頑張ってきた仲間です。寄せ場労働運動はあらゆる差別を許さない。この資本主義社会をぶっ潰し、本当の意味でわれわれ労働者が、主人公として生きていく社会を作るためには、いかなる差別も許してはならない」と力強く訴える。

 

 東京・山谷日雇労働組合は、「この旧武蔵病院、松沢病院をはじめ関東一円の精神病

院は、野宿の日雇い労働者を刈り込み、病院の利益を上げる手段、あるいは一部研究機関の生体実験の材料として日雇い労働者を虐殺してきた。私たち日雇い労働者もそういった意味で、保安処分を担っているこういった病院に怒りを叩き突けていかねばならない。本日の闘争を闘い、全『障』共の提起を受けて7月20日には報徳会宇都宮病院闘争にも山谷から全力決起していく決意です。『障害者』解放、日雇い労働者解放を目指し、ともに闘いぬいていく」と決意も新たに訴える。

 

 決意表明の最後は反安保労研全国センターだ。「『法』施行から九ヵ年が経過した。『精神障害者』を危険な存在として見るブルジョア社会の差別意識のもとで、『精神障害者』を隔離・拘禁・抹殺してしまおうとして存在している保安施設は解体あるのみである」「安倍政府は、今国会において、『集団的自衛権の行使』を閣議決定し、解釈改憲を強行した、許してはならない」「安倍政府は、『障害者』の問題を治安対策として、新たな保安処分の導入を狙いながら闘いを潰そうとしている。戦時『障害者』抹殺攻撃を粉砕する闘いをともにかちとっていこう。『障害者』解放運動と革命的労働運動の共同闘争によって、安倍政府を打倒していこう」。会場の仲間たちは、全一〇団体の発言に集中して聞き入り、大きな拍手で応えた。

 

 集会を終え、いよいよデモに出発だ。デモ隊は国立精神・神経医療研究センターに向けて進撃し、怒りも新たに「保安処分施設を解体するぞ!」「『心神喪失者等医療観察法』粉砕!」「『刑法』・『更生保護法』改悪弾劾!」「『精神保健福祉法』改悪弾劾!」とシュプレヒコールを叩きつける。小平市の住民をはじめ労働者人民の注目を集め、戦闘的デモを闘いぬいた。全「障」共は、本闘争を力に、「心神喪失者等医療観察法」撤廃に向けて闘いを強めていくとともに、7・20「報徳会宇都宮病院入院患者差別・虐殺30ヵ年糾弾!現地闘争」に決起していくことを確認して闘争を終えていった。