4・1 「障害者総合支援法」施行2ヵ年糾弾闘争へ

介護の商品化粉砕!安倍極右政府打倒!

「障害者総合支援法」2ヵ年糾弾闘争を闘おう

 

                     全国「障害者」解放運動共闘会議

 

 招請状  

 

(一)

 

 全国「障害者」解放運動共闘会議(全「障」共)は、来る4月1日、東京において「障害者総合支援法」施行2ヵ年糾弾闘争を闘います。この闘いを、〈「障害者総合支援法」撤廃! 介護の商品化粉砕!〉〈「障害者」差別糾弾! 「障害者」と労働者階級との階級的共同闘争で闘おう! 安倍極右政府打倒!〉をスローガンに、政府―厚生労働省を徹底糾弾する闘いとして闘いぬきます。「障害者」の〈自立と解放〉を阻む悪法=「障害者自立支援法」を一部見直しただけの「障害者総合支援法」が、2012年6月20日の参院本会議で、民主、自民、公明などの賛成多数で可決・成立し、2013年4月1日から施行されてから今年で2ヵ年を迎えます。全国の闘う仲間は、「障害者総合支援法」撤廃を実力でかちとるべく、怒りも新たに4月1日、東京に結集して闘おう。

 

 「支援費制度」―「障害者自立支援法」―「障害者総合支援法」による介護の商品化は、「障害者」と介護者の間に介護事業者という資本を介在させ、介護を資本の利潤追求の手段に変質させ、〈共闘・共生〉の条件を破壊していくものです。「障害者総合支援法」の基礎となっている「障害者自立支援法」は2006年4月に施行されましたが、「介護サービス」などの利用料の原則一割を本人が負担するという「応益負担」によって、所得の低い人や「障害」が重く介護が必要な人ほど負担が急増し、批判が集中しました。2009年に発足した民主党を軸とした政府は、内閣府に設置した「障がい者制度改革推進本部」のなかに、「障害者インターナショナル」(DPI)日本会議などの「障害者」団体を取り込んだ「障がい者制度改革推進会議」を置き、翌2010年1月に「障害者自立支援法違憲訴訟」の元原告団と交わした「遅くとも2013年8月までに障害者自立支援法を廃止し、新たな福祉法制を実施する」という「基本合意」に基づき、同年6月に「法」の廃止を閣議決定しました。これを受けて「違憲訴訟」も同年和解しています。

 

(二)

 

 しかし2012年6月20日、野田政府は廃止するとしていた「障害者自立支援法」を一部見直しただけの「障害者総合支援法」を参院本会議で可決・成立させました。「障害者自立支援法」のもとで批判の集中した「応益負担」に関して、「障害者総合支援法」では所得の低い「障害者」が「サービス」を利用した際の軽減措置を現行通り続けるとした上で、2011年8月に「障がい者制度改革推進会議」の「総合福祉部会」が提言した「サービスの原則無料化」「サービスを受ける際は障害程度区分に基づかず、本人の意向が最大限尊重される仕組みにする」などの「骨格提言」のほとんどが無視されています。介護保険制度における「要介護度」や「障害者自立支援法」における「障害程度区分」と同じような「障害支援区分」という尺度が適用されるため、多くの「障害者」が必要な介護(時間・内容)を受けることができません。ヘルパー利用一つとっても各「都道府県」、市町村によって差はありますが、「外泊でのヘルパー利用禁止」、「県境を越える介護の禁止」「政治活動のための利用禁止」など、各自の行政の価値観で禁止事項を作り「障害者」の行動規制をしているのです。「障害者」が〈自立と解放〉を実現するために不可欠な活動を行なうことを困難にしているのです。しかも、厚生労働省は、将来的には介護保険制度への統合=介護のさらなる切り捨てと介護費用のさらなる収奪をもくろんでいます。「法」成立にともない「障がい者制度改革推進会議」は廃止されており、民主党を軸とした政府との「政策協議」に期待を寄せた運動の破綻が明白になった今、安倍極右政府が進める戦時「障害者」抹殺攻撃と対決する運動が求められています。

 

(三)

 

 「障害者」の〈自立と解放〉に向けた要求と介護の商品化とは、まったく相反するものであり、「障害者」の生活が「改善」されるはずもありません。それは〈共闘・共生〉の原則を破壊し、「障害者」と介護労働者をしばる資本の鉄鎖を強化するものに他なりません。しかも厚生労働省は、将来的には「自立支援給付制度」の「介護保険制度」への統合まで狙っています。狙いは、介護のさらなる切り捨てと「障害者」からの収奪強化です。差別糾弾闘争で粉砕しなければなりません。

 

 はっきりさせるべきは、「支援費制度」―「障害者自立支援法」―「障害者総合支援法」は介護の商品化に貫かれた「法」である以上、「措置制度」からの改悪ということであり、徹底した差別糾弾闘争で粉砕しなければならないということです。そもそも、資本家階級の意を受けた政治委員会と議会への法制度要求で「障害者」の〈自立と解放〉を実現できるなぞと考えるのは、全くの幻想です。そんなことで実現できるのは、せいぜい改良要求だけです。同じ改良要求なら、「支援費制度」よりは「措置制度」のほうがまだましだということです。介護の商品化のもとでは、〈共闘・共生〉の条件が奪われ、厚生労働省が一貫してもくろんでいる「介護保険制度への統合」の運命を辿るしかないのです。

 

 これを批判しえぬ多くの運動体の体制内化が進みました。「障害者総合支援法」の成立とともに「障がい者制度改革推進会議」が廃止されるなど、「政府との政策協議」に期待を寄せた運動の破綻も、これまた明白になっています。

 

 介護保険制度においても厚生労働省は「施設から在宅介護への移行」を謳い、2012年4月から「24時間訪問介護(定期巡回・随時対応型訪問介護看護)」がスタートしました。しかし、「24時間訪問介護」といっても、〝介護を受ける者が死なない程度〟に、コマ切れに介護に入るだけの代物です。厚生労働省は、施設内介護より財政負担を少なくした「在宅介護」を浸透させようとしているのです。「障害者」介護においても、「地域生活」を謳ったうえで、介護保険制度におけるこのようなコマ切れの介護で済ませようとしているに違いないのです。利潤の獲得を期待できないことから、「障害者」の「介護サービス」を担う資本のほとんどが参入をためらっているからです。また、コマ切れの「訪問介護」は時間内に行なうことが決められており、時間内に終わらせるために、「障害者」当事者の意にそぐわないような介護が強制されています。施設内介護を巡っても予算が削減されて人員不足が深刻化し、「何度ブザーを押しても職員が来ない」状況が強いられています。

 

(四)

 

 介護の商品化に反対せず、「障害者」の「自立と社会参加」や「自立と完全参加」なるスローガンを掲げる運動は、「障害者」がこの資本主義社会における経済活動や社会活動に、「健常者」との格差を是正して参加させろと要求する運動です。したがって、その運動の成果は、資本主義社会の経済状態やそれに規定された政府の意向に左右されます。ちなみに、民主党を軸とした政府が設置した「障がい者制度改革推進会議」は、「障害者総合支援法」成立後、「障害者政策委員会」となるのですが、この「障害者政策委員会」は、「障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)」の制度を進めるための論議に多くの時間をついやしてきました。そして、自公政府となった2013年6月に、この「障害者差別解消法」は国会で成立し、2016年施行とされています。いうまでもなく、この「障害者差別解消法」は、差別糾弾闘争を非合法化しようとするものです。介護の商品化に反対せず、「障害者」の「自立と社会参加」や「自立と完全参加」なるスローガンを掲げる運動は、こうした攻撃にも、とりこまれていかざるをえないのです。

 

 世界大恐慌爆発情勢が深化する中、改憲と核武装に突き進む安倍極右政府のもとで社会保障の縮小・切り捨てが進行しており、「障害者」への「介護サービス」だけが手厚くされる制度なぞ実現できる訳がないのです。 資本の利益を生む能力が高い者を「価値ある生命」とし、その能力の低い者を「価値なき生命」として排除・抹殺する優生思想を必然的に生み出す資本主義社会、所得などの格差の拡大を必然的に生み出すこの資本主義社会の変革なくして、「障害者」への「介護サービス」だけが手厚くされる制度なぞ実現できる訳がないのです。「障害者」の解放は、資本の力によってではなく、労働者階級との階級的共同闘争を発展させるなかで実現できるのです。

 

(五)

 

 「障害者」の〈自立と解放〉とは、施設内介護や介護保険制度の「24時間訪問介護」のような〝死なない程度に介護が保障された生活〟ではなく、介護者との〈共闘・共生〉を求め、差別なき新たな共同社会=共産主義社会を実現していくものでなければならないのです。「商品化」された介護は決められた時間内に決められたことを行なう「機械」のような介護に落とし込められます。「障害者」と「健常者」とが介護を通して相互に交流し、共に闘い共に生きていく関係を作り出していくことを不可能にし、「障害者」解放運動を解体していくものです。しかも、「障害者」の介護が「資格をもつ人がお金をもらって行なう仕事」とされることにより、「ボランティア」による介護を求めることも成立しなくなります。差別からの解放を求めない「自立」の先に待つもの、差別糾弾の牙を抜き取られた「障害者」運動の先に待つものは、差別に屈服した生き方と希望を奪われた未来です。「障害者」の〈自立と解放〉のスローガン、そして差別糾弾闘争こそが未来を切り拓く力です。

 

 私たちは、全障連の歴史的地平を継承・発展させ「障害者」差別糾弾闘争を闘える全国組織、全「障」共第2回大会を昨年12月21日に大阪において、かちとりました。

 

 私たち全「障」共とともに、「障害者総合支援法」撤廃をかちとり、介護の商品化を粉砕しよう! 「心神喪失者等医療観察法」撤廃かちとり、保安処分施設を解体しよう!「精神保険福祉法」撤廃をかちとり、「病棟転換型住居系施設」を阻止しよう! 「脳死―臓器移植法」撤廃をかちとろう! 「安楽死・尊厳死」法制化を阻止しよう! 差別糾弾闘争の前進かちとり、「障害者」差別―抹殺攻撃を打ち破ろう! 改憲と核武装に突撃する安倍極右政府を打倒しよう!

 

 

◇「障害者総合支援法」施行2ヵ年糾弾闘争

 

・日時 4月1日(水)正午

・場所 東京・水谷橋公園

・主催 全国「障害者」解放運動共闘会議

 *集会後デモ