7・5 「心神喪失者等医療観察法」施行10ヵ年糾弾! 対国立精神・神経医療研究センター(旧武蔵病院)デモを闘う

 全「障」共が闘争基調を提起

 

 7月5日、全国「障害者」解放運動共闘会議(全「障」共)は、全国の闘う仲間とともに、東京都小平市中央公民館での集会と国立精神・神経医療研究センター(旧武蔵病院)に対するデモとして、「心神喪失者等医療観察法」施行10ヵ年糾弾闘争が闘いぬいた。

 

 午後1時、全「障」共で闘う「病者」「障害者」をはじめ全国から闘う仲間が結集するなか、「福岡・『障害者』解放をめざす会」の仲間の司会で集会の開始が宣言される。「『心神喪失者等医療観察法』撤廃!」「保安処分施設を解体するぞ!」「改悪『精神保健福祉法』撤廃!」「『病棟居住系施設』構想粉砕!」「『障害者総合支援法』撤廃!」「『尊厳死』の法制化を許さないぞ!」「『安保法制関連法』案粉砕!」「改憲と核武装に突き進む安倍極右政府打倒!」「差別糾弾闘争と階級的共同闘争で闘うぞ!」「全『障』共は闘うぞ!」と、シュプレヒコールが鳴り響く。

 

 はじめに、全「障」共幹事会より基調提起を受ける。

 基調提起に起った沖縄の仲間は、「心神喪失者等医療観察法」の差別性を詳細に明らかにしつつ、「法」成立後の有効な闘いは「保安処分施設の建設を阻止し、解体する闘いだ」と訴える。本闘争について、「『精神障害者』差別にもとづく保安処分法である『心神喪失者等医療観察法』施行10ヵ年を糾弾し、闘う『精神障害者』を先頭とした差別糾弾闘争の飛躍をとおして『心神喪失者等医療観察法』撤廃をかちとる」「保安処分施設を全国に先駆けて建設した国立精神・神経医療研究センター(旧武蔵病院)を糾弾し、保安処分施設を解体すべく闘いぬく。これを突破口として、全国の保安処分施設の建設を阻止し解体する」「『心神喪失者医療観察法』施行を導水路として策動されている新たな保安処分導入を阻止し、刑法の改悪を阻止する」とまとめ、「精神障害者」解放・「障害者」解放に向けて闘いぬくことを呼びかけた。

 基調は、圧倒的な拍手で確認された。

 

 そして基調の補足として、沖縄の仲間は、彼の家族が入院する沖縄の「精神病院」において、「入院する家族会の中の天皇主義者による『病院内のフロアの壁に昭和天皇・ヒロヒトの写真を飾れ!』という反動的な申し入れを、断固粉砕する闘いを行なっています。天皇制とは「精神障害者」を圧殺してきた体制であり、粉砕されて当然です。以後もこういう攻撃を粉砕していこう」という訴えを行なった。

 

 さらに、引き続き基調の補足として、司会の仲間が、「『身体障害者』『知的障害者』の運賃・料金割引がなされているのに対して、『精神障害者』の運賃・料金割引はほとんどない。会社は財政的な事情などと言っているが、『精神障害者』への差別だというのは明らかだ。われわれは九州運輸局、JR九州、西鉄バスなどに対して運賃・料金割引を要求する申し入れを行ない、話し合いを要求しました。全国の仲間も行政や企業、資本に対して、『精神障害者』の運賃・料金割引をするよう、『精神障害者』差別を許さない取り組みを行なっていこう」。

 会場の仲間たちは、これら二つの提起を全体で確認した。

 

 仲間の熱い訴えに会場が沸く

 

 続いて、全国から結集した仲間からの決意表明に移っていく。

 「宮城・『障害者』への公的介護保障を求める会」の仲間は、「2001年、『大阪池田小学校児童殺害事件』を口実に、時の首相・小泉が『精神障害者』に対して『再犯の恐れあり』という社会的不安を煽り、「心神喪失者等医療観察法」の施行を強行した。精神医療の底上げを図るとこの『法』を施行したが、それは全くのウソに過ぎない。『精神障害者』を精神病院内に隔離し、抹殺するのがこの『法』の目的だ。私立、国・公立の各病院で本人の意思に背いて、強制医療・強制移送が『精神保険福祉法』改悪と共に行なわれてきた。『精神障害者』を地域社会から排除し、精神病院内に隔離・拘禁し、抹殺していくのがこの『法』の目的だ。そのような『法』である事を改めて捉え返し、糾弾し、地域の多くの『精神障害者』とともに闘う陣形を造っていく。そして、朝鮮反革命戦争とファシズムに向かう安倍極右政府の『安楽死』『尊厳死』法案ともどもこの『心神喪失者等医療観察法』を粉砕していく。全国の闘う仲間とともに闘っていく」と決意を明らかにした。

 

 刑法改悪阻止関東活動者会議で闘う「病者」の仲間は、「タガにはめられ、競争し合って働けなくなって『うつ病』などを『発症』する労働者が激増しています。資本主義社会そのものが問題である。こんな社会を変えない限り、『精神障害者』の解放はあり得ない。現在、安倍極右政府が『安保法制関連法』案をなにがなんでも成立させ、朝鮮反革命戦争へと突き進もうとしています。こうしたなかで、『精神障害者』を、治安の対象として隔離・抹殺する攻撃がますます強化されています。私自身も『精神障害者』であり、いつ権力に保安処分施設に入れられるかわからない。私は、多くの『病者』『障害者』とともに本日の闘争を全力で闘っていきたい」と訴えた。

 

 「大阪・『障害者』解放をめざす会」の仲間は、「国家権力にとって『精神障害者』が治安弾圧の対象だという態度は、安倍極右政府の戦争政策のなかでますます明らかになっている。昨年、『特定秘密保護法』が成立し、この『法』には『特定秘密』を扱う人間の規定のなかに『精神病者』かどうかをチェックし、『精神病者』は除くとはっきり明記されている。このことからも帝国主義国家権力にとって、『精神障害者』であるというだけで治安弾圧の対象だというのは明らかだ。このような扉を開いたこの『心神喪失者等医療観察法』施行10ヵ年を徹底糾弾していこう。大阪においてもビラ撒きなどを行ない、闘う『精神障害者』、学生の結集を呼びかけている。『養護学校』の存在そのものが『障害者』差別だという訴えに関心はいまでも高い。大阪においても、一人でも多くの戦闘的『障害者』と、学生の組織化を闘いぬく決意です。ともにこの『心神喪失者等医療観察法』撤廃まで闘いぬこう」と訴えた。

 

 「広島・『障害者』解放を進める会」の仲間は、「『心神喪失者等医療観察法』は、その『目的』を「当事者への手厚い医療」「社会復帰」としていますが、しかし、その中身は、『目的』とは大違いだ。入院が長期化し、退院後も四割の人が地域で安定した生活ができず、この10年間で40人を超える自殺者を出している。われわれは、この『法』に断固反対していく。厚生労働省は、『精神障害者』の長期入院の解決策として病棟の一部をグループホームなどの『病棟転換型居住系施設』へと整備しようとしている。病棟の看板を医療施設から福祉施設へと転換させ、統計上の精神科病院の入院患者数を減らそうとしているが、これが始まると、いままで以上に『精神障害者』に対する差別・収容・抹殺攻撃が強まっていく。絶対に許せない。『精神障害者』に本当に必要なのは本人のための医療・介護の充実、そして人との繋がり、社会とのつながりです。しかし、現実に進められているのは『保安処分』の動きである。われわれは、『精神障害者』との連帯をかちとり、『保安処分施設』解体の闘いを進めていく」と決意表明する。

 

 「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」の仲間は、「支配者はマスコミを利用し、『精神障害者』に対して犯罪率や再犯率が高いと差別を煽っています。しかし、実際は厚生労働省の調査結果にも明らかなように『精神障害者』の犯罪率・再犯率は『健常者』の6分の1とも、10分の1ともいわれる調査結果が出ています。支配者は『精神障害者』『障害者』は、資本主義社会の役に立たない、戦争をする役に立たないから殺してしまえ、という考えです。戦争遂行の安倍政府の下でこの攻撃が強められています。『精神障害者』が何か事件を起こした時には必ず理由があります。『精神障害者』への抑圧と差別、排外と孤立のなかでどうしようもなくなり、自己を見失った上での行動である。それが事件だなどといわれる。そこまで『精神障害者』を追い詰めた社会が悪いにも関わらず、追い詰められた『精神障害者』のみが断罪される。このような事を許してはならない。われわれの野宿をする仲間もそうだ、『汚い』からと襲撃され殺される。何故『汚い』のか、それは、仕事がないからだ。差別のない抑圧のない俺達が生きいきと生きていける社会をともに作っていこう。頑張りましょう」と力強く訴える。

国立精神・神経医療研究センターへ

怒りのデモ

 

 東京・山谷日雇労働組合は、「『心神喪失者等医療観察法』は、『精神障害者』を差別する法律であり、一日も早く撤廃しなければならない。この法律を作る時、法務省や御用学者は〝『精神障害者』は再び犯罪を行なう可能性が高い〟というデマを流しました。事実とは180度違うデマである。こういったデマ・差別をなくすためには差別と闘う『精神障害者』と連帯して闘うことが不可欠です。故安井健彦氏が宇都宮病院の問題を告発して以来、宇都宮病院を糾弾・解体する闘いに取り組んできた。山谷の労働者が狩り込みによって宇都宮病院に収容され、ひどい目にあっていたからです。『心神喪失者等医療観察法』を作らせない闘いにも取り組んできました。一日も早くこの『法』を撤廃し、この国立精神・神経医療研究センターをはじめとしたすべての保安処分施設を解体する決意をもって今日の集会とデモを闘う」と訴える。

 

 決意表明の最後は、反安保労研全国センターだ。「『心神喪失者等医療観察法』の撤廃をかちとり、保安処分施設を解体する闘いは、『精神障害者』を治安対策の対象と見て、例えば天皇がどこかに行けばその地域の『精神障害者』をリストアップし、治安弾圧対象として必ず警察が監視したり、本人の意思など関係なく隔離・収容することが『当たり前』としてきたことを粉砕する闘いだと思います」「日本の労働運動のなかで『精神障害者』への差別を許さないことを課題として取り組んできたのは大阪釜ヶ崎の労働運動や山谷の日雇い運動など、数えるほどしかない。寄せ場・日雇い労働運動がさきがけて闘ってきた闘いを、あらゆる産業・職場に拡げていくことが課題だと思います」「2018年には企業の『障害者雇用達成率』のなかに『精神障害者』も含まれるようになります。しかし、これによって『精神障害者』がわずか2パーセントという『障害者』雇用率の数字を達成するために、資本家たちが『精神障害者』を使い捨てにする危険性がある。そのことを許してはならない」「安倍政府は、『安保法制関連法』案という『戦争法』を作ろうとする一方で、『労働者派遣法』改悪や『労働基準法』改悪を強行しようとしている。『戦争国家』作りを完成させるためには、労働者が権利を主張し、闘うことを潰すことが必要だと考えているからだ」「このような労働法制改悪のなかで『精神障害者』の雇用が資本家たちによる『精神障害者』の使い捨てにつながる危険性を粉砕しなければならない。『精神障害者』が団結して闘うことを前進させる労働運動が必要であり、『健常者』と『精神障害者』が階級的共同闘争を積み重ね、それを前進・拡大させることが求められている」と締めくくった。

 

 会場の仲間たちは全7団体の発言に集中して聞き入り、大きな拍手で応えた。

 

 集会を終え、いよいよデモに出発だ。デモ隊は、国立精神・神経医療研究センターに向けて進撃し、怒りも新たに「『心神喪失者等医療観察法』施行10ヵ年糾弾!」「国立精神・神経医療研究センター解体!」「保安処分施設解体!」「改悪『精神保健福祉法』撤廃!」「『障害者総合支援法』撤廃!」「『安楽死』、『尊厳死』の法制化攻撃粉砕!」「戦時『障害者』差別―抹殺攻撃粉砕!」「『安保法制関連法』案粉砕!」「改憲と核武装に突き進む安倍極右政府打倒!」「差別糾弾闘争と階級的共同闘争で闘うぞ!」とシュプレヒコールを叩きつける。小平市の住民をはじめ労働者人民の注目を集め、戦闘的デモを闘いぬいた。全「障」共は、本闘争を力に「心神喪失者等医療観察法」撤廃に向けて闘いを進めていくとともに、7・19「報徳会宇都宮病院入院患者差別・虐殺31ヵ年糾弾!現地闘争」に決起していくことを確認して闘争を終えていった。