「心神喪失者等医療観察法」施行12ヵ年糾弾! 7・1対国立精神・神経医療研究センター(旧武蔵病院)デモへ

                              全国「障害者」解放運動共闘会議

 「心神喪失者等医療観察法」の撤廃を勝ち取ろう

 

 2005年7月15日、「精神障害者」を隔離・抹殺する「心神喪失者等医療観察法」施行が強行されました。全国「障害者」解放運動共闘会議(全「障」共)は、来る7月1日、「法」施行12ヵ年への怒りを込めて「心神喪失者等医療観察法」施行12ヵ年糾弾! 対国立精神・神経医療研究センター(旧武蔵病院)デモを闘います。すべての闘う「精神病者」「障害者」、共に闘う労働者人民・学生に、この闘いへの結集を呼びかけます。

 

 「心神喪失者等医療観察法」は、その目的に「病状の改善及びこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り、もってその社会復帰を促進する」とあり、「犯罪行為」の原因を「心身喪失状態」などを引き起こした「精神障害」と規定しています。そして、「犯罪を行なった際の精神障害」が「改善」されるまでは「同様の行為の再発」つまり「再犯」のおそれがあるから、特別な施設(保安処分施設)に隔離・拘禁するというものです。〝「精神障害」が「改善」しなければ、「再犯のおそれがあるから」、地域では生きさせない〟として、保安処分施設に隔離・拘禁された人々は、「精神障害者」としての存在自体を否定されるという、明らかな「精神障害者」差別法です。また、この法は、「医療法」ではなく、司法―国家権力に大きな権限を与える治安目的の「法」です。医療関係者が「もう入院の必要はない」と判断して「退院許可申請」を行なったにもかかわらず、裁判所が申請を却下した事例が相当数あることからも明らかです。国家権力が恣意的に、科学的根拠のない「再犯のおそれ」にもとづいて「予防拘禁」できる点において、紛れもない保安処分です。

 

 日帝・政府は、「精神障害者」への差別を利用して、保安処分の導入を狙ってきました。「触法精神障害」なる言葉で差別を煽り、「処遇者専門病棟」の建設をもくろんできました。しかし、これは、全国の「精神障害者」を先頭とした闘いによって頓挫しました。それでも、保安処分導入に執着する日帝・政府は、2001年に大阪で起きた「池田小学校児童多数殺傷事件」の被告に精神病院への通院歴があったことに飛付き、当時の首相・小泉は、「精神的に問題のある人が逮捕されても、また社会に戻ってひどい事件を起こす」と放言し、マスコミを総動員して、「精神障害者は、危険」「何をするかわからない」という差別キャンペーンを大々的に張り、「心神喪失者等医療観察法」を成立させました。2005年の「法」施行後、現在までに保安処分の適用を受けた「精神障害者」の中から40人を超える「自殺者」がでているとされており、まさに「精神障害者」抹殺の法です。しかも「重大犯罪」を対象にするといいながらも、かすり傷一つの軽傷でも適用されるなど、「法」の適用が乱発されています。

 

保安処分施設の建設阻止・解体へ

 

 「心神喪失者等医療観察法」は、保安処分施設の建設が進まず、「受け入れ」の態勢もままならぬまま、施行期日の2005年7月15日を迎えました。施行当時、全国で唯一の保安処分施設となったのが、旧武蔵病院(現国立精神・神経医療研究センター)でした。何が何でも「法」を施行せんとする政府の意を受けて、「法」施行の空白期間をなくすことに与したのが、旧武蔵病院です。旧武蔵病院は、1940年に「傷痍軍人武蔵療養所」として設立され、1945年に旧厚生省に移管されて「国立武蔵療養所」となりました。都立松沢病院と同じく「ロボトミー」などを中心とした「治癒的活動」という名の「精神障害者」虐殺を強行する悪名高い病院として存在してきたのです。2010年には、「国立精神・神経医療研究センター病院」と名称を変更し「神経研究所」「精神保健研究所」などあわせて七部門(現在九部門)からなる国立精神・神経医療研究センターの病院部門として機能しています。国立精神・神経医療研究センターは政府の医療政策を実践する機関として存在しており、「精神保健研究所」は「『心神喪失者等医療観察法』についての研究や普及啓発、治療技法に関する研究、精神鑑定及び精神保健観察のあり方に関する研究等を司ること」となっています。また、「触法精神障害者の暴力行為に対する生物学的研究にも取り組んでいる」とされ、各部門相互が密接につながり、保安処分施設の存在を支えています。2010年には、全国で初めての「身体合併症治療の機能」を有した保安処分施設を開設しています。

 

 旧武蔵病院に続き、全国で続々と保安処分施設の建設が強行されてきました。本年4月1日現在で「指定通院医療機関」の指定数は、3396ヵ所とされており、「指定入院医療機関」は、すでに32ヵ所の病院が指定・運営されています。現在、島根県の精神病院でその整備がなされて運用を開始しようとしています。

 

 一方、「厚労省障害保険福祉部」の2017年度予算において、「地域移行・地域定着支援などの精神障害者施策の推進」の項目に204億円が計上されていますが、そのうち「心神喪失者等医療観察法」関係には、177億円が計上され、「高齢・長期入院の精神障害者の地域移行・地域定着支援の推進」には、2・3億円しか計上されていません。「精神障害者の地域移行・地域定着支援の推進」とは名ばかりで、政府の政策が「精神障害者」を治安対策の対象として隔離・抹殺することに重点を置いていることは明らかです。

 

 保安処分施設の存在なくして、「心神喪失者等医療観察法」施行もありえません。「法」撤廃をかちとるための有効な闘いは、保安処分施設の建設を阻止し、解体する闘いです。差別糾弾闘争を武器に、保安処分施設に直接デモをぶつけ、「入院患者」との連帯をかちとっていきましょう。

 

 法務省は、「精神障害者」に対する保安処分導入に続き、保安処分の運用対象を拡大することを狙っています。2006年、法制審議会に「被収容人員適正化方策に関する部会」が設定され、「初犯者」「薬物依存者」を対象とする「刑の一部執行猶予」「社会貢献活動」という名の新たな保安処分の導入が狙われてきました。保安処分の適用対象者拡大に対する反対闘争が闘われましたが、安倍極右政府は、2013年3月、「刑法等の一部を改正する法律」案と、「薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律」案を閣議決定して参院に上程し、成立させました。改悪「法」においては、「薬物使用等の罪を犯した者」は「再犯率」が高い、「初犯者」は「再犯」の恐れがあると決め付けて「刑の一部」を長期にわたる「執行猶予」として課し、「保護観察」即ち、「執行猶予取り消し」の恫喝のもとに「社会貢献活動」を強制することによって、「善良な社会の一員」なるものにするとしています。刑法の「再犯の恐れ」を導入して保安処分の適用対象を拡大しようとしているのです。刑法改悪―新たな保安処分の導入を許してはなりません。

 

「精神保健福祉法」撤廃をかちとれ

 

 2014年4月1日から施行されている改悪「精神保健福祉法」では、保護者制度が廃止され、医療保護入院―強制入院の要件として、精神保健医1人の診断と家族等(配偶者、親権者、扶養義務者、後見人又は保佐人などのいずれかの者)の合意での医療保護入院―強制入院が可能とされてしまっています。個人の意思は、完全に無視・抹殺されているのです。これは、「精神障害者」の基本的人権の一切を奪う行為であり、この「法」は、「心神喪失者等医療観察法」と同様の「精神障害者」への隔離・拘禁の保安処分攻撃です。厚労省は、昨年発生した、相模原の「障害者施設殺傷事件」を理由に「精神保健福祉法」の新たなる改悪を目論んでいます。改悪案は、①「都道府県」や政令市が「精神障害者」支援地域協議会を設置し、入院中から退院後の支援計画を作成②退院後、帰住先の保護所設置自治体相談指導を実施③患者が転居した場合、移転元の自治体から移転先へ通知―を定めるとされている。「精神障害者」支援地域協議会に警察も参加し、「犯罪行為」に発展する可能性があるケースへの対応も協議するという改悪案に対する、当事者団体からの「精神科医療を治安維持の道具に使うべきではない」との指摘を受けて、厚労省は法改悪の当初の趣旨である「二度と同様の事件が発生しないよう整備する」という「再発防止」文言は削除するとはしたものの、「精神障害者」や各「精神障害者」団体、専門家からは、「支援計画をつくる協議会に警察の参加を想定する点を問題視する」という批判の声が上がっている。「精神障害者」への警察の監視が強化され、生活が脅かされるというのです。首相・安倍は、法改悪を「再発防止」と結びつける発言をしており、「謝罪、撤回すべきだ」として、「精神障害者」や各「精神障害者」団体、専門家らは、改悪案そのものを廃案すべきだと主張しているのです。どこまでも「精神障害者」を「治安対象」としてしか捉えられない日帝や首相安倍の「精神保健福祉法」の新たなる改悪を阻止しよう。そして、「精神保健福祉法」そのものを撤廃させなければなりません。

 

 2014年に改悪された「精神保健福祉法」にもとづき厚労省が打ち出し始めた「病棟転換型居住系施設」構想なるものの中身は、地域移行という名の下に精神病院の敷地内の空いた病棟を利用して「グループホーム」に名前を変え、そこへ長期入院患者を移動させ「精神障害者」の地域移行を推進するという、「精神障害者」に対する事実上の長期入院、隔離・抹殺体制を維持することを狙うものです。「病棟の転換を認めなければ(入院患者の)削減は進まない。地域移行の選択肢が拡がるのはいいことだ」(国立精神・神経医療研究センター理事長・樋口)「(病棟転換は、)地域の受け皿作りを議論する中で具体的な方策の一つ」「病院も地域社会と思っている」(「厚労省精神・障害保健課」課長)などと言い放っています。「精神保健福祉法」と共にこの構想自体の撤廃をかちとらなければなりません。 

 

 「成年後見制度利用促進法」と「改正民法及び家事事件手続法」が、二〇一六年四月八日と四月六日に、それぞれ衆院本会議と参院本会議で可決・成立しました。「成年後見制度利用促進法」と「改正民法及び家事事件手続法」は、「精神障害者」の自己決定権を著しく侵害するものであり、「精神障害者」の尊厳を踏みにじる「法」です。「後見人」の医療同意が可能になり、郵便物、信書等の送付、開封等が「後見人」に直接出来るようにもなり、「精神障害者」個人の基本的人権そのものを、破壊する「法」でしかありません。とりわけ、「後見人」の「医療行為同意代諾」が可能になれば、それは完全な強制医療ということになるのです。これまで、「精神保健福祉法」では、強制入院を規定していましたが、強制医療までは規定していませんでした。しかし、「成年後見人」が「代諾」してしまえば、「精神障害者」本人が医療同意したと見なされ、本人の意思は抹殺され、不本意な医療行為の全てを強制されていってしまいます。強制的な投薬治療や電気ショック治療が、これまでも、運用されてきました。しかし、現在は、裁判において不法医療行為を主張する余地がありますが、この「法」改悪によって、こうした余地そのものがなくなってしまうのです。さらに警戒しなければならないのは、「成年後見人」によって、医療提供拒否の代理決定による、いわゆる「尊厳死」へと「精神障害者」を追いやる危険性を伴うという事です。日帝の優性思想にもとづく、「精神障害者」抹殺攻撃のための「法」だという訳です。全ての「障害者」抹殺攻撃を粉砕しよう。

 

「精神病者」解放・「障害者」解放へ

 

 2017年通常国会では、「措置入院」制度を強化するための「精神保健福祉法」の新たな改悪が強行されようとしています。5月17日には、参院本会議で、「精神保健福祉法」改悪案が、自民・公明両党と「日本維新の会」などの賛成多数で可決され、衆院に送られました。この改悪案は、「相模原事件」を口実にして、「精神障害者」に対する監視の強化・徹底化を図ろうという許しがたい代物です。「措置入院患者の支援強化」なんぞと銘打ってはいますが、実際には「支援」の名のもとに、退院した「患者」をどこまでも追い回し、自治体、警察の監視下に置き続けようというものです。具体的には、①「都道府県」や政令市が、医療機関などと「精神障害者支援地域協議会」を設置し、「患者」の入院中から個別の「退院後支援計画」を作成する、②「患者」の退院後、帰住先の保健所設置自治体が、「計画」に基づき「相談指導」を実施する、③「患者」が「計画」の期間中に転居した場合、移転元の自治体から移転先自治体へ「計画」の内容を通知することなどを定めています。「精神障害者支援地域協議会」には、警察も参加するのです。

 

 2016年4月1日より施行された「障害者差別解消法」により、「精神、身体を含めたあらゆる種類の障害者」への差別が行政や専門家集団に委ねられている事が、規定されている限りに於いて、本日のような「差別糾弾」の闘いの放棄を日帝国家権力が求めているのは、明らかです。したがって、この「法」は、「精神障害者」との〈共闘・共生〉の関係を破壊し、あらゆる種類の「障害者」差別廃絶の道を閉ざすものでしかありません。なんとしても、撤廃をかちとらなければなりません。

 

 本闘争は、第1に、「精神障害者」差別にもとづく保安処分法である「心神喪失者等医療観察法」施行12ヵ年を糾弾し、闘う「精神障害者」を先頭とした差別糾弾闘争の飛躍をとおして、「心神喪失者等医療観察法」撤廃をかちとるための闘いです。第2に、保安処分施設を全国に先駆けて建設した国立精神・神経医療研究センター(旧武蔵病院)を糾弾し、保安処分施設を解体すべく闘いぬくことです。これを突破口として、全国の保安処分施設の建設を阻止し解体しましょう。第3に、「心神喪失者等医療観察法」施行を導水路として策動されている新たな保安処分導入を阻止し、刑法の改悪を阻止する闘いです。差別糾弾闘争と労働者階級との階級的共同闘争で戦時「障害者」差別―抹殺攻撃と全面対決しよう!

 

「安楽死、尊厳死の法制化」攻撃を粉砕しよう! 改悪「精神保健福祉法」の撤廃をかちとり、新たなる改悪を阻止しよう! 「病棟転換型居住系施設」構想を粉砕しょう! 「障害者差別解消法」の撤廃をかちとろう! 「成年後見制度利用促進法」と「改正民法及び家事事件手続法」の撤廃をかちとろう! 改憲と核武装に突き進む安倍極右政府を打倒しよう! 「障害者」差別を生み出す帝国主義を打ち倒し、共産主義社会の建設を通して「精神病者」解放・「障害者」解放をかちとろう! 「心神喪失者等医療観察法」施行12ヵ年糾弾! 対国立精神・神経医療研究センター(旧武蔵病院)デモを闘おう!

 

7・1

「心神喪失者等医療観察法」施行一二ヵ年糾弾!

対国立精神・神経医療研究センター(旧武蔵病院)デモ

日時 7月1日(土)午後1時半

場所 小平市中央公民館

主催 全国「障害者」解放運動共闘会議