全国「障害者」解放運動共闘会議 結成宣言

 

(Ⅰ)結成の趣旨

 

 全国障害者解放運動連絡会議(全障連)運動の歴史的地平を継承し、さらに大きく発展させるべく、全国「障害者」解放運動共闘会議(全「障」共)の結成を宣言する。
 「障害者」の自立と解放をめざし、差別糾弾闘争で闘いぬいてきた全障連をはじめとする運動体の少なからぬ部分が、〝自立と社会参加〟〝完全参加と平等〟を掲げながら、階級性を喪失した体制内へと路線転換し、「政府との政策協議」「政策決定への参画」に展望を抱いている。この路線転換は、1981年の「国際障害者年」を契機とする「ノーマライゼーションの理念の普及」を受けてはじまり、「措置制度」の「支援費制度」への転換(2003年)を契機とする介護の商品化の流れのなかで決定的となる。
 介護の商品化は、介護を「福祉サービス」という名のコマ切れの各種商品にすりかえ、「障害者」と介護者との関係を、これら商品の購入・利用者と販売・提供者との関係に変質させるものであり、介護に資本の論理を貫徹させることによって、共闘・共生を根底から破壊するものに他ならない。将来的には、「自立支援給付制度」の「介護保険制度」への統合も狙われている。
 これを批判しえぬ多くの運動体の体制内化と運動的衰退が進み、全障連もまた、その生命力を失うに至った。しかし、「障害者」をとりまく現実は厳しさを増している。戦争とファシズムの時代の切迫とともに、優生思想、社会防衛思想が蔓延し、「障害者」への隔離・収容・抹殺の攻撃はますます強まっており、闘いの課題は山積している。体制内運動を突き破る新たな運動と組織の創出が急務である。それは全国の闘う「障害者」の渇望である。
 われわれは、いかなる困難な条件のもとでも、差別糾弾闘争を闘い、「障害者」の自立と解放の道を切り拓いていく。分断を突破し、労働者階級との階級的共同闘争を推進していく。ブルジョア政府にエールを送る運動を突破し、資本主義社会の変革―普遍的人間解放の実現をとおした「障害者」解放を展望していく。この目的に向かって邁進する組織と運動を確立するため、ここに全「障」共の結成を高らかに宣言する。

 

(Ⅱ)原則的立場

 

 全「障」共は、「障害者」差別を糾弾し、「障害者」の自立と解放のために闘う。
 全「障」共は、「障害」の「程度」や「種別」を超えた「障害者」の団結を形成し、「障害者」のあらゆる権利を創出・獲得するために闘う。
 全「障」共は、〈「障害」からの解放ではなく、差別からの解放〉の立場を堅持し、闘う。労働者の解放の実現を通しての「障害者」解放を展望する。
 全「障」共は、社会矛盾と闘う労働者、学生、被差別大衆・人民との積極的関係を求め、差別と闘う「障害者」の立場から共闘し、相互変革の上に連帯を築き、社会変革のために闘う。
 全「障」共は、全国のあらゆる地域・職場に対し、「障害者」解放運動をうながし、展開していく。

 

(Ⅲ)当面の課題

 

 全「障」共は、当面の闘う方針を以下のように掲げる。
(一)「障害者総合支援法」撤廃をかちとり、介護の商品化を粉砕しよう。
(二)「心神喪失者等医療観察法」撤廃をかちとり、保安処分施設の建設阻止―解体へ。保安処分新設を阻止しよう。
(三)「脳死―臓器移植法」撤廃をかちとろう。「安楽死・尊厳死」法制化を阻止しよう。「着床前診断」「出生前診断」反対。「母体保護法」撤廃。優生思想と対決し、優生政策を粉砕しよう。
(四)分離・別学教育体制を粉砕しよう。
(五)差別糾弾闘争を非合法化する「障害者差別禁止法」制定要求を踏み越えて闘おう。
(六)戦争とファシズムに反対し闘おう。

 

2013年12月22日